平成２３年度　入学式　奈良ＰＴＡ会長　祝辞 - 活動報告

活動報告 ◀ 227/394 ▶

2011.04.19 平成２３年度　入学式　奈良ＰＴＡ会長　祝辞日時：2011.04.08

泉丘高校入学式挨拶文

桜の花が開花した今日、金沢泉丘高校の入学式にあたり、学校長先生はじめ諸先生方、並びに多数のご来賓の皆様にご臨席賜るなか、はなはだ僭越ではございますが、ＰＴＡを代表いたしましてご挨拶させていただきます。?

新入生の皆さん、ご入学　誠におめでとうございます。
保護者の皆様におかれましては、お子様方のご入学を心よりお祝い申し上げます。

さて先程から、初々しいみなさんの姿を見ながら、私自身も自分の高校時代の事をいろいろと思い出しておりました。私にも高校時代の想い出はたくさんあります。そしてその時の友人は、今でも深い絆で?がっています。
ただし、思い出せないこともあります。それは入学式の時のＰＴＡ会長の話しです。本当に全く記憶に残っていません

しかし、皆様の脳裏に一生残ることがあるとすれば、皆様の入学の時期が、あの大惨事である「東日本大震災」の直後であることです。
何万人もの尊い命が失われ、現在でも何十万人という途方もない数の人々が避難所で不自由な生活をしています。

そのことを想い、無言のまま心で祈りたいと思います。
皆様、ほんの一瞬、目を閉じてみましょう。
これを黙祷と言います。　
生かされている我々が、心を一つにして、命を掛けて祈りを捧げることは、何か必ず意味があるはずだと思うのです。

「命」という字があります。字統という辞書には
「神に祈り、その啓示として与えられたものを命という」とあります。
天に向かって人が器を差し出している姿が、この字そのものなのです。
私は陶芸家なのですが、そのような器を創りたいと努力しています。
器量という言葉も「器」という字が使われています。
それは、人物や能力の大きさを示しています。

震災前の日本では一見、個人主義が横行し、武士道のような美しい日本人の精神的美徳は完全に失われていたように思えました。
しかし、震災で日本人が見せた振る舞いは、形骸的な個人主義ではなく、日本人の魂から発せられるものでした。
本来の日本人の心が復活したのです。

避難所で老人が「これからどうなるのだろう」と漏らした時、
横に居た高校生の男の子が、「大丈夫、大人になったら僕らが絶対元に戻します」その老人の背中をさすすりながら、そう言ったそうです。日本の未来がそこにあります

今、日本が問われています
日本人として人に何ができるか？どのような人になるべきなのか。
「夢を持ちなさい」
持っていない大人が皆様に言うのかもしれません。むかつくでしょう。しかし、夢を持てないから若者に言ってくれているのです

私が尊敬する、西田幾多郎という世界的な哲学者がいます
「寸心の思想」というなかで、自覚、客観、反省という人の生き様を説いています。
私は茶道を志しているのですが、茶会をたとえとして話させていただきます。
もし私が「自覚」した茶会を催したなら、
一生懸命に私が集めたもの、私が創ったもので臨みます。
結果、貴方が出過ぎだと言われるかもしれません。
「反省」しながら謙虚に自分存在を考え直します。
次には「客観」した茶会を催します。
自らがでないように努力をします。
結果、貴方はどこに存在しているのか、問われます
そして、また「反省」するのです
「自覚」が再び芽生えてきます。
人生はその繰り返しだとあります。

「心身一如」　金沢泉丘高校の教育理念です
今日まで、様々な人々の努力によって、心と体の成長を願う高い教育が実践されてきました。
成績をあげることばかり、大学に入ることばかりでなく、また、人間教育の一面ばかりにも片寄らない。
その人の能力によって、どちらにも適度なバランスをもった勉強が皆さんの将来を決するものだと思います。本校の伝統を各自が「自覚」をもち、尊敬できる師と巡り会い、信頼できる友と出会うことは、一生において絆として結ばれていきます。自らが将来の自分を描き目標を立てて下さい。目標を達成できるまで、くじけず頑張り続けることが一番重要なことだということを忘れないで下さい。高校生活の貴重な3年間を有意義な時間となることは、非常に大事なことだと思います。

皆さんがこの高校を卒業される時、充実した３年間であり、そして金沢泉丘高校で本当に学んで良かったと思える事を願いまして、お祝いの言葉に変えさせていただきます。ご入学本当におめでとうございます。

平成23年4月８日
金沢泉丘高校PTA会長
奈良年夫（大樋年雄）