2019.07.05
北信越地区高P連研究大会長野大会 その1
日時:2019年7月4日(木) 〜5日(金)
場所:ホクト文化ホール
7月4日〜5日 長野市において北信越地区高P連研究大会長野大会が開催されました。
大会2日目の記念講演が大変印象に残りましたので、報告いたします。
講師は信州大学教育学部の結城匡啓教授(スポーツバイオメカニクス、コーチング論、トレーニング論専門)です。結城教授は、スピードスケート日本代表コーチとして、清水宏保選手や小平奈緒選手を担当され、長年、冬季オリンピックゴールドメダリストを育ててこられた方です。
今回の講演は「金メダリスト小平奈緒の成長を支えて 〜選手の力を最大限に引き出すコーチング〜」という演題で、小平選手のコーチングを中心にお話をいただきました。
簡単ですが、いくつか印象に残ったエピソードを報告いたします。
1 小平選手について
元々は中学校の教師になりたいという夢があり、今でも目指している。
韓国代表のイ・サンファ選手は、ピョンチャン五輪の時にとても話題になったが、小平選手にとっては常に目標としてきた選手でもあり、お互いに尊敬し合っている。報道された事象は彼女たちにとっては日常のことであった。
2 小平選手の両親の関わり
スランプの時に、父親がコーチに「少し放っておいた方が良いのでは・・」とアドバイスされたことがとても印象に残っている。幼少期からずっと見守っている親子関係は、日本代表選手の育成をするレベルのコーチにとっても、とても重要な要素になっている。初めて選手と接する時、まず親子関係をみて、選手とコーチとの距離感をとることにしている。
ソチ五輪で1000mの成績が振るわなかった。次の500mにどう選手の気持ちを持って行くか悩んでいた時、母親から言われた「私達はここに来られるだけで幸せ。いつもの奈緒ののびのび滑る姿が見れればそれでいい。」という言葉で、小平選手の気持ちが相当楽になったこともあった。
3 選手とコーチとの関係
選手が自分自身で知を蓄積していくことの手伝いであり、選手自らが決断し成長していくことの手伝いであるというスタンスが基本と考えている。
根本にあるスポーツに臨む哲学がとても大事。負けることから得られるのは、スポーツに臨む哲学そのものの見直しである。勝ち負けが目的化してしまうと哲学を見直す場面を失ってしまう。そのことを常に念頭において指導にあたっている。
小平選手は結城コーチに対して「信じているけど、頼ってはいない」存在と言ったことがあった。この距離感が選手育成にとって大事だった。
4 感想
両親の距離感、コーチの距離感ともに、私達が子に接する時の普遍的なものがあると感じました。オリンピックゴールドメダリストといっても、特殊な関係性がある訳ではないということを感じられる講演でした。